
保護者の育休・復職にともなう在園継続と退園手続きの確認
「下の子が生まれるので、そのあいだ上の子はどうなりますか?」
保護者からこう聞かれて、ふと言葉に詰まる。育休に入ると保育の必要性の事由が変わるので、上の子が在園を続けられるのか、いつまで預けられるのか、迷いやすいところですよね。しかもこのルールは自治体ごとに違うので、「前はこう案内したけど、今も同じでいいんだっけ」と不安になります。
制度そのものは細かいのですが、園の事務で押さえるポイントはそれほど多くありません。一緒に順番に整理していきましょう。
結論:育休にともなう在園の可否は自治体のルールしだいです。だから園がその場で「続けられます/退園です」と断定するより、①保護者から連絡を受けたら在園継続の可否を自治体の最新案内で確認する、②復職・延長のどちらでも認定事由と就労(復職)証明書の提出を保護者に案内する——この2つの流れを持っておけば、日々の対応は落ち着きます。
何が起きているか:育休で「保育の必要性の事由」が切り替わる
保護者が下の子を出産して育児休業に入ると、上の子(在園児)の「保育の必要性」の事由が、就労から育児休業に切り替わります。ここで問題になるのが、育休中も上の子の在園を続けられるかどうかです。

多くの自治体では、次のような考え方で在園継続の可否を判断しています(具体的な線引きは自治体で異なります)。
- 継続できることが多いケース:上の子が年長(就学前の1年)にあたる、または発達・環境の面で継続が望ましいと市区町村が認めるとき。
- 退園を求められることがあるケース:上の子が0〜2歳児クラスで、育休対象の下の子と同時に家庭保育が可能と判断されるとき。
つまり「育休に入ったら一律に退園」でも「必ず継続できる」でもなく、年齢・クラスと自治体の運用しだいです。だからこそ、園が独自に判断するより、保護者の状況を整理して自治体の窓口・最新案内で確認するのが確実です。園が「たぶん続けられます」と言い切ってしまうと、あとで食い違ったときに保護者との関係がこじれるので、ここは慎重に構えて大丈夫です。
具体例:連絡から手続きまでの3つの場面
現場で動くのは、だいたい次の3つの場面です。
- ① 育休中も在園を続ける:継続が認められた場合、保育の必要性の事由を「育児休業」として認定し直す(または継続認定する)ことがあります。多くの自治体で継続できる期限(たとえば下の子が一定月齢・年齢に達する年度末まで、など)が決まっているので、その期限を保護者と共有しておきます。
- ② 復職する:復職予定日が決まったら、就労(復職)証明書の提出を案内します。事由が「育児休業」から「就労」に戻り、認定期間や保育必要量(標準時間/短時間)も就労実態に合わせて見直します。復職日と保育の必要量が結びつくので、勤務時間が変わる場合は早めに確認します。
- ③ 育休を延長する:職場の育休延長にともない、保育の必要性の認定期間の延長・現況の届け出が必要になることがあります。延長のたびに証明書類の提出を求める自治体もあるので、「次はいつまでに何を出すか」をそのつど保護者に伝えておくと、期限切れを防げます。
いずれの場面でも共通するのは、認定事由が変わるタイミングで書類が発生するという点です。逆にいえば、事由が変わる連絡を最初に拾えれば、後の手続きは自治体の案内にそって進められます。認定事由の確認は 就労証明書・保育の必要性の認定事由の確認ポイント もあわせてどうぞ。
影響:放っておくと認定切れ・退園日のズレにつながる
認定事由や認定期間は、施設型給付費(委託費)の請求や、そもそも在園できる根拠と結びついています。育休で事由が変わったのに手続きが止まっていると、認定期間が切れたまま在園している状態になったり、月次の給付費請求で児童区分・認定区分の確認にひっかかったりすることがあります。退園になるケースでも、退園日が実態とずれると、日割りの保育料や給付費の調整が後から必要になります。
だからこそ、「育休に入る/復職する/延長する」の連絡を受けた時点で、認定と在園の状態を早めに整理しておくと安心です。退園時の日割りの考え方は 年度途中の入園・退園と日割り計算 を参考にしてください。
明日やること:小さく3ステップで

- 在園児の「保育の必要性の事由」と認定期間を一覧にする:誰がいつまでの認定か、事由は何かを1枚で見えるようにしておくと、育休や復職の連絡が来たときに影響をすぐ確認できます。名簿の一元管理は 二重入力をなくす台帳の整え方 の考え方が使えます。
- 育休の連絡が来たら、上の子の在園可否を自治体に確認する:園で判断せず、上の子の年齢・クラスと下の子の状況を整理して、自治体の最新案内・窓口で確認します。判断に迷うときほど、確認してから案内すると安心です。
- 必要な書類と期限を保護者に案内する:復職なら就労(復職)証明書、延長なら延長の届け出など、「いつまでに・どの様式を・誰に出すか」を添えて伝えます。提出物の伝え方は 入園・退園事務、抜け漏れを防ぐ確認手順 も参考にしてください。
一度に全部を覚えようとしなくて大丈夫です。まずは在園児の認定事由と期限を1枚にまとめるところからで十分です。
確認チェックリスト
全部できていなくて大丈夫です。ひとり事務の小さな園なら、まずは次の最低ライン2つだけ押さえれば日々は回ります。
- 【最低ライン】在園児の「保育の必要性の事由」と認定期間を一覧で把握できているか
- 【最低ライン】育休・出産・復職の連絡を受け取る窓口が決まっているか
この2つができたら、余裕のあるときに次を少しずつで十分です。
- 育休中の在園継続の可否は、園で判断せず自治体に確認する流れになっているか
- 継続できる場合の「いつまで」の期限を保護者と共有できているか
- 復職時に就労(復職)証明書の提出を案内できる状態か
- 育休延長のときの届け出・提出期限を保護者に伝えられるか
- 退園になる場合、退園日と日割り・給付費の調整を確認できているか(毎月の請求で請求担当が確認しているなら、月次チェックに含めれば別途は不要です)
よければ、こちらも
在園や認定まわりの理解を深めたいときは、次の記事もあわせてどうぞ。

育休にともなう在園の手続きは、自治体でルールが違ううえに、保護者にとっても大事な話なので、最初は誰でも慎重になります。でも「園で断定せず、自治体に確認してから案内する」という軸さえ手元にあれば、相談を受けても落ち着いて応えられます。今日は在園児の認定事由と期限を1枚にまとめる——それだけで、明日の対応が少し軽くなります。