
卒園・転園の児童票と保育要録、引き継ぎ・保管の基本
「この子の書類、どこまで送って、どれを園に残すんだっけ…?」
卒園や転園の時期になると、一人ひとりの書類を前に、ふと手が止まりますよね。児童票は園に残すもの? 要録は小学校へ送るもの? そして、送ったあとや卒園したあと、園に残る書類はいつまで保管すればいいのか。毎年やっているはずなのに、いざとなると迷いやすいところです。
引き継ぎと保管は、区別する軸さえ手元にあれば、そんなに複雑ではありません。一緒に順番に整理していきましょう。
結論:児童票は「園が在籍中の記録として持ち、卒園・転園後も一定期間保管する書類」、保育要録は「就学時に小学校へ送るために作り、写しを園に残す書類」です。まず送るもの/園に残すものを分け、残すものは保管期間を自治体・園の規程で確認する——この流れで、毎年の卒園・転園事務がぐっと落ち着きます。
何が起きているか:児童票と保育要録は役割が違う
同じ「子どもの記録」でも、児童票と保育要録は役割が違います。ここを分けて見ると、引き継ぎも保管も整理しやすくなります。

- 児童票(園児台帳):入園から在籍中の基本情報や育ちの記録をまとめた、園が管理する書類です。卒園・退園後も、園に一定期間保管します。
- 保育所児童保育要録(保育要録):小学校へのなめらかな接続のために、子どもの育ちを就学先の小学校へ引き継ぐ書類です。園は要録を作成して小学校へ送付し、その写しを園に保管します。
保育要録の作成・送付は、現行の保育所保育指針でも位置づけられている取り組みです。認定こども園の場合は「認定こども園こども要録」という名称で、幼稚園・保育の両方の性格を踏まえた様式が使われます。まずは「児童票=園に残す」「要録=小学校へ送って写しを残す」という行き先の違いをつかめれば十分です。
保育要録:子どもの育ちを支えるための資料として、就学先の小学校へ引き継ぐ記録のこと。保育所では「保育所児童保育要録」と呼びます。指導のための内容と、最低限の学籍的な情報をまとめたもの、というイメージでよいでしょう。
具体例:卒園と転園で、書類の動きは少し変わる
行き先の違いがわかると、卒園と転園で動きが変わることも見えてきます。
- 卒園(就学)するとき:保育要録を作成し、就学先の小学校へ送付します。送付方法(郵送か持参か、市区町村を通すか)は自治体で運用が分かれるので、毎年の案内を確認します。児童票は園に残して保管します。
- 他園へ転園するとき:転園先へ引き継ぐ書類の範囲は、自治体や園の間の取り決めによって異なります。求められて出す場合も、園で保管し続ける場合もあるので、「何を・どこへ渡すか」を先に確認すると迷いません。
- 年度途中で退園するとき:在籍記録として児童票を整え、保管に回します。退園日や理由まで記録が整っていると、あとで問い合わせが来ても落ち着いて答えられます。年度途中の処理は 年度途中の入園・退園と日割り計算の考え方 もあわせてどうぞ。
ここで気をつけたいのは、個人情報を含む書類を外へ渡す・送る場面です。誰に・どんな方法で渡すか、控え(写し)を園に残すかを決めておくと、後から「あの子の記録、どうしたっけ」と探さずにすみます。要録は送付して終わりではなく、写しを園に残すのが基本、と覚えておくと安心です。
影響:保管期間があいまいだと、探し物と不安が増える
卒園・転園後の書類をいつまで残すかがあいまいだと、二つの困りごとが起きがちです。ひとつは、古い書類が減らせず棚が膨らんでいくこと。もうひとつは、いざ「あの年度の記録を見せてほしい」と言われたときに、すぐ出せず不安になることです。

大事なので先にお伝えすると、児童票や保育要録の写しの保管年限は、国で一律に決められているわけではありません。多くは各自治体の文書管理規程や、園の規程・運営規程で定められています。自治体によって年数の考え方(卒園後◯年、など)が異なるので、「一般にはこのくらい」という数字を鵜呑みにせず、必ずお住まいの自治体・自園の規程で確認するのが確実です。
そのうえで、園全体の保存年限を一覧にしておくと、書類ごとに迷わずに済みます。保存年限の一覧づくりは 文書の保存年限を一覧にして探し物を減らす が参考になります。監査の場面での見られ方は 指導監査でよく見られる書類とそろえ方 もあわせてどうぞ。
明日やること:小さく3ステップで

- 送るもの/園に残すものを分ける:卒園・転園の対象児ごとに、「小学校(転園先)へ送る書類」と「園に残す書類」をまず仕分けます。仕分けの窓口や担当を決めておくと、毎年迷いません。入園から退園までの流れは 入園・退園事務、抜け漏れを防ぐ確認手順 が土台になります。
- 送る書類は、写しを園に残す:保育要録は送付して終わりにせず、写し(控え)を園に保管します。いつ・どこへ・どの方法で送ったかをメモに残しておくと、後から確認が入っても安心です。
- 園に残す書類の保管期限を決める:児童票・要録の写しなどを「いつまで残すか」を、自治体・園の規程で確認して年度ごとにまとめます。保存年限が決まっていない書類があれば、この機会に一覧へ加えておきましょう。
一度に全部を仕上げようとしなくて大丈夫です。まずは今年度の卒園・転園児ぶんだけ、「送る/残す」を分けるところからで十分です。
確認チェックリスト
全部できていなくて大丈夫です。ひとり事務の小さな園なら、まずは次の最低ライン2つだけ押さえれば毎年の卒園・転園は回ります。
- 【最低ライン】対象児ごとに「小学校(転園先)へ送る書類」と「園に残す書類」を分けられているか
- 【最低ライン】送った書類(保育要録など)の写しを園に残しているか
この2つができたら、余裕のあるときに次を少しずつで十分です。
- 送付の方法・時期を、毎年の自治体の案内で確認しているか
- 児童票・要録の写しの保管年限を、自治体・園の規程で確認しているか(数字は自治体で異なるため、「規程で確認する流れ」があれば大丈夫です)
- 保存年限を園全体の一覧に載せているか(すでに一覧があるなら、そこに追記するだけで十分です)
- 個人情報を含む書類の受け渡し方法(誰に・どう渡すか)が決まっているか
- 転園時に引き継ぐ書類の範囲を、自治体・園の取り決めで確認できるか(迷ったら窓口に投げれば足ります)
よければ、こちらも
引き継ぎや保管の理解を深めたいときは、次の記事もあわせてどうぞ。

児童票と保育要録は、最初は「どっちがどっち?」と迷うものです。でも「園に残すもの」と「小学校へ送るもの」を分ける、という軸さえ手元にあれば、卒園シーズンが来ても落ち着いて向き合えます。今日は今年度の対象児ぶんだけ仕分けてみる——それだけで、明日の事務が少し軽くなります。