
保育園の有給管理、年5日取得をシフトに組み込む手順
「そういえば、あの先生、有給ぜんぜん取れていないかも」——年度の後半にふと気づいて、ひやっとした経験はありませんか。日々の保育を回すだけで精一杯で、有給の管理はどうしても後回しになりがちですよね。
しかも保育園は配置基準があるので、「休みたい日に休んでもらう」がそのまま通らない難しさがあります。誰かが抜ければ別の誰かが埋めることになり、結局いつも同じ人にしわ寄せがいく。そんなジレンマを抱えている園は、決して少なくありません。
結論:有給管理は「取れていない人を後から探す」より、年度のはじめに全員分の取得状況を1枚にまとめて見える化するのが近道です。残日数の把握 → 年5日の割り当て → シフトへの先取りの順で進めると、年度末に慌てずにすみます。
何が起きているか
2019年4月から、年10日以上の有給が付与される職員には、年5日を確実に取得させることが会社(園)側の義務になりました。これはパートや短時間勤務の職員でも、付与日数が10日以上になれば対象です。「本人が希望しなかったから」では理由になりません。
保育の現場で取得が進みにくいのは、たいてい次の3つが重なっているからです。
- 配置基準があり、人が抜けた日を埋めるのが難しい
- 誰が何日取ったかが、紙の台帳や記憶に散らばっている
- 「みんな忙しいのに自分だけ」と、職員側も言い出しにくい
つまり、やる気の問題ではなく仕組みの問題であることが多いのです。だからこそ、事務側で「見える化」と「先取り」をしておくと、ぐっと回りやすくなります。
手順を小さく分けます

- 職員ごとの付与日・残日数を1枚に書き出す:いつ有給が付与され、今年度は何日付与されて、これまで何日取得したかを職員別に並べます。年度の途中入職者は付与日がバラバラなので、ここで一度そろえておくと後が楽です。
- 年5日が義務の対象者に印をつける:付与日数が10日以上の職員に印をつけ、その人が「あと何日取れば年5日に届くか」を出します。すでに本人の希望で5日取れている人は、この義務の心配はいりません。
- 取得してほしい日を本人と相談して仮置きする:行事や繁忙期を避け、子どもが少なめの時期や平日に候補日を相談します。一方的に決めず「この週のどこかでどうですか」と幅を持たせると、お互い調整しやすくなります。
- 来月以降のシフトに先取りで書き込む:決まった候補日を、シフトを組む段階で先に休みとして入れてしまいます。後から差し込むより、最初から「いない前提」で配置を組むほうが、基準も崩れにくく安心です。
付与日数や繰り越し、計画的付与(労使協定が必要な仕組み)の細かい扱いは、就業規則や労働基準法、自治体の運用で違いがあります。日数の計算や制度の要件は断定せず、必ず就業規則と公式の案内で最新の内容を確認してください。ここで整理しているのは、あくまで「慌てないための進め方」です。
確認チェックリスト
- 職員ごとの付与日・付与日数・残日数を1枚にまとめたか
- 付与10日以上で年5日が義務になる対象者に印をつけたか
- 対象者が「あと何日取れば届くか」を出したか
- 行事・繁忙期を避けた候補日を本人と相談したか
- 候補日をシフトに先取りで書き込んだか
- 取得が進んでいない人を、年度の前半のうちに把握できているか
- 取得状況の更新を、月1回など決まったタイミングで見直しているか
明日やること
まずは、職員全員の名前を縦に並べた1枚の表を作るところからで十分です。残日数まで埋まっていなくても、名前が並ぶだけで「誰の状況が空欄か」が見えてきます。空欄が埋まっていけば、声をかける相手の優先順位も自然と決まっていきます。
シフトを組む段階で有給を先取りすると、配置基準の確認とも自然につながります。人数の組み立て方を整理したいときは 配置基準を満たすシフトの組み方、基本の手順 も合わせてのぞいてみてください。職員の入退職にともなう手続きが重なる時期は 職員の入職・退職で必要な手続きと書類の流れ も役に立ちます。

有給の管理は、職員一人ひとりの働き方と園全体の回し方を、両方ながめる気づかいの多い仕事です。一度に全員分を完璧に組まなくて大丈夫。「まず全員の名前を1枚に並べる」——それができた時点で、もう今年度の有給管理は動き始めています。職員が安心して休める園は、子どもにとっても落ち着いた場所になります。その土台を、あなたの事務が静かに支えています。