
避難訓練の記録、毎月ムリなく残す仕組みのつくり方
避難訓練が終わって、子どもたちを保育室に戻したあと。机の端に、書きかけの記録用紙が一枚。
「今日の分、あとでまとめて書こう」——そう思っているうちに次の業務が押し寄せて、気づけば数か月分の記録が中途半端なまま溜まっている。毎月きちんと訓練はしているのに、残し方がそのたびに違って、いざ監査の準備で見返すと「あれ、この月の避難時間、書いてあったかな」と探し回る。限られた人数で園を回しながら、この地味な積み残しは、じわじわ気持ちに重くのしかかりますよね。
結論:記録がバラつくのは、あなたの手際のせいではありません。「訓練のたびに一から書く」形になっているからです。先に①年間の訓練計画(いつ・どんな災害を想定するか)と②毎月使う定型の記録用紙の2枚を用意しておけば、あとは訓練直後にその場で埋めるだけ。記録は「作る」ものから「埋める」ものに変わり、月ごとに自然と残っていきます。
避難及び消火の訓練は、少なくとも毎月1回行うことが原則とされています(根拠や細かい取り扱いは後述のとおり必ず公式情報で確認してください)。毎月あるからこそ、一回ずつの負担を軽くする「型」があると、ぐっと楽になります。
何が起きているか
訓練そのものは、みなさんきちんとやっています。つまずきやすいのは、いつも「記録の残し方」のほうです。
用紙の様式が毎回ちがう。書く人がその月によって変わる。避難にかかった時間を書く欄があったりなかったり。こうして少しずつ形がずれていくと、あとで見返したときに「毎月続けてやってきた」という継続の流れが見えにくくなります。監査で見られやすいのは、じつは一枚一枚の出来ばえよりも、この「月ごとに、抜けなく続いているか」という連続性のほうです。
問題は、あなたの記録が雑なことではありません。毎回ゼロから書く形になっていること。だから月によってブレるのです。型を1枚決めてしまえば、ブレは「同じ用紙に書き込むだけ」に変わります。
手順を小さく分けます

一気に整えなくて大丈夫です。次の順番で、できるところから進めてみましょう。
- 年間の訓練計画を1枚にする:まず「いつ・どんな災害を想定するか」を12か月分ならべた表を1枚だけ作ります。火災・地震・不審者・風水害などを月ごとに割り振っておくと、「今月は何の訓練だっけ」と毎回考えずにすみます。まずは今わかっている数か月分だけでも十分。空いた月は「未定」と書いておけば、あとで埋める宿題として見つけやすくなります。
- 毎月使う記録用紙の「型」を決める:日時・想定した災害・参加した子どもと職員の人数・避難にかかったおよその時間・気づいたこと・次回の改善点——この並びを、決まったフォーマットにします。様式は園にあるもので構いません。大事なのは「毎月、同じ用紙を使う」ことです。
- 訓練の直後に、その場で書く:記憶が新しいうちが、いちばん楽に書けるタイミングです。避難時間や子どもの様子は、時間が経つほど思い出せなくなります。訓練を担当した職員が、保育室に戻る前に用紙へ数字とメモを走り書きするだけでも、あとの清書がぐっと軽くなります。
- 「気づき」を次の月へ渡す:記録は残すだけでなく、次に活かせると意味が増します。「靴の履き替えに時間がかかった」「非常口の一つが荷物でふさがっていた」——そんな一言を書き、翌月の頭で読み返す。これだけで訓練が少しずつ良くなり、監査でも「ふりかえって改善している園」として伝わります。
- ファイルに月順で綴じる:書いた用紙は、その月のうちに専用のファイルへ月順で綴じます。バラバラにしまうと、あとで並べ直す手間が生まれます。「訓練が終わったら、書いて、綴じるまでが1セット」と決めておくと、抜けが起きにくくなります。
ここで大切な注意です。避難訓練の実施回数・想定すべき災害・記録に残す項目や保存の扱いは、根拠となる法令・通知や、自治体・消防・園の規程によって異なります。「毎月1回」など一般的な原則はありますが、個別の要件はこの記事では断定できません。お住まいの自治体の指導監査の手引きや、消防計画・園の防災に関する規程など、公式の情報で必ず確認してください。迷ったら、園長や自治体・消防の担当窓口に「どの資料を見ればよいか」を一度確認しておくと安心です。ここで整理しているのは、あくまで「毎月ムリなく残すための仕組みの作り方」です。
記録用紙に入れておきたい項目(例)
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 実施日時 | 2026年○月○日 ○時○分 など |
| 想定した災害 | 火災/地震/不審者/風水害 など |
| 参加人数 | 子ども○名・職員○名(欠席や未参加の有無も一言) |
| 避難時間 | 避難開始から集合完了までのおよその時間 |
| 避難経路・場所 | 使った経路と、集まった場所 |
| 気づいたこと | うまくいった点・困った点をありのままに |
| 次回の改善点 | 翌月に活かしたい一言 |
すぐ埋まらない欄は、空欄のままにせず「要確認」と書いておくのがコツです。空欄は忘れますが、「要確認」と残しておけば、次に手が空いたときの宿題として見つけやすくなります。
確認チェックリスト
全部を一度でそろえる必要はありません。まずは最低ラインの2つから動き出せば十分です。
まずはここだけ(最低ライン)
- 毎月使う記録用紙の「型」を1枚決めたか
- 訓練の直後に、その場で書く担当を決めたか
できるときに(後回しでもOK)
- 年間の訓練計画(いつ・何の災害を想定するか)を1枚にしたか
- 記録用紙に「避難時間」と「気づき」の欄があるか
- 「次回の改善点」を翌月の頭に読み返しているか
- 記録を月順でファイルに綴じているか
- 実施回数や要件を、自治体・消防・園の規程など公式情報で確認したか
年間の見通しをつくる流れは 保育園 年間事務カレンダー&提出物チェックリスト に、監査で見られる書類の揃え方は 指導監査で見られる書類、慌てず揃える準備の基本 に、日々の記録づくりを少し楽にする工夫は 書類づくりを少し楽にするICT化 に整理しました。あわせてのぞいてみてください。

避難訓練の記録は、毎回きれいな一枚を仕上げる仕事ではありません。同じ用紙に、訓練のたびに数字とひとことを書き込んでいく——その積み重ねが、そのまま「園がちゃんと備えてきた」という記録になります。今日は記録用紙の型を1枚決める、それだけで、来月からの負担はもう軽くなり始めています。毎月きちんと訓練を続けてきたあなたの丁寧さが、子どもたちの安全を静かに支えています。