
監査の自己点検表の書き方|「いいえ」も怖くない、正直にそろえる手順
監査の通知を開いたら、資料一覧と一緒に、何ページもある「自己点検表」が入っていた。項目を上から読んでいくと、「〜しているか」「はい・いいえ」がずらりと並んでいて、途中で「これ、正直に『いいえ』って書いていいのかな」とペンが止まる——そんな経験はありませんか。
しかも項目は、事務だけで答えられるものばかりではありません。保育の記録、給食、防災、職員の勤務……。全部をひとりで抱えて、去年の控えとにらめっこしているうちに、夕方になってしまうんですよね。でも大丈夫です。自己点検表は、満点を取るためのテストではありません。園の「いま」を、園自身が先に確かめておくための表です。この記事では、分担の仕方と、根拠の添え方、「いいえ」の書き方を順番に整理していきます。
結論:自己点検表は ①分野ごとに担当を分けて ②根拠になる書類を横に置きながら ③「いいえ」には理由と対応予定を一行添えて 書きます。「いいえ」があること自体より、事実と違う「はい」のほうが、あとで説明が難しくなります。迷う項目は、提出前に自治体の担当窓口に一度聞いておくと安心です。
何が起きているか:自己点検表で手が止まる3つの理由
自己点検表(自主点検表と呼ぶ自治体もあります)は、指導監査の前に、園が自分で運営の状況を点検して提出する様式です。様式や項目の数、提出の時期は自治体によって違うので、まずは手元に届いたものと、その記入要領を確認するのが出発点です。
手が止まりやすい理由は、だいたい次の3つに分かれます。
- 項目の範囲が広い:運営規程、職員配置、保育の計画、給食、健康管理、防災、会計まで。事務担当ひとりでは、根拠を確かめきれない項目が混ざっています。
- 「はい」と書きたくなる:「いいえ」に丸をつけると、指摘を自分から書いているように感じてしまいます。
- 去年の控えを写したくなる:忙しいと、去年の回答をそのまま写したくなります。でも、職員の入れ替わりや規程の改定で、今年は状況が変わっていることがあります。
どれも、担当者が手を抜いているから起きるわけではありません。ひとりで、記憶だけを頼りに答えようとすると、どうしても迷いが増えてしまうんです。
書き方の手順:分担して、根拠を見ながら、正直に
1. 分野ごとに「保育」「給食」「事務」で担当を分ける

まずは項目を、記録を持っている人ごとに分けます。目安はこの3つです。
- 保育:保育の計画・記録、児童の健康管理、午睡や事故の記録、避難訓練 → 主任・園長
- 給食:献立、アレルギー対応、検食・保存食、衛生管理 → 栄養士・調理担当
- 事務:運営規程、職員の配置と勤務、雇用・研修、会計、掲示物 → 事務担当・園長
たとえば項目が120あって3人で分けるなら、ひとり40項目ずつ。1日10項目なら4日で一巡します(120 ÷ 3 = 40、40 ÷ 10 = 4)。全部をひとりで抱えるより、ずっと現実的な量になります。
頼むときは、点検表をそのまま渡すより、担当してほしい項目の番号に印をつけたコピーを渡すと、相手も迷わずに済みます。
2. 根拠になる書類を「横に置いて」答える
1項目ずつ、記憶ではなく手元の書類を見て答えます。
- 「はい」にするときは、根拠にした書類の名前を余白や作業用のメモに書いておく(例:「避難訓練記録 2026年度」「勤務表 9月分」)
- 書類がすぐ見つからない項目は、いったん保留にして付箋を貼る
- 規程や記録が最新の状態か(改定日、今年度分があるか)もあわせて見る
根拠の書類名をメモしておくと、監査の当日に「これはどの書類で確認できますか」と聞かれたときに、すぐに出せます。点検表を書く作業が、そのまま当日の準備にもなるんです。
3. 「いいえ」「該当なし」は、一行を添えて書く
「はい」と言い切れない項目は、正直に書いて大丈夫です。ただ、丸だけで終わらせず、一行の説明を添えます。
| 回答 | 添えるとよい一行の例 |
|---|---|
| はい | 根拠の書類名(作業用メモでも可):「研修記録ファイルに今年度分を綴じてある」 |
| いいえ | 理由と対応予定:「9月に規程を改定、掲示の差し替えは10月中に行う予定」 |
| 一部できている | できている範囲:「0〜2歳児クラスは実施、3〜5歳児クラスは11月から実施予定」 |
| 該当なし | 理由:「調理業務を外部に委託しているため、該当項目は委託先の記録で確認」 |
説明を書く欄が様式にない場合は、備考欄や別紙の扱いを記入要領で確認するか、窓口に聞いてみてください。
具体例:同じ「いいえ」でも、伝わり方が変わる
たとえば「運営規程の内容を、見やすい場所に掲示しているか」という項目。今年、利用定員の変更で規程を改定したのに、掲示がまだ古いままだったとします。
- 丸だけの「いいえ」:何ができていないのか、いつ直るのかが伝わらない
- 一行を添えた「いいえ」:「9月に規程を改定。掲示の差し替えは10月中に行う」
あとのほうなら、園が状況をつかんでいて、もう動き出していることが伝わります。そして、提出までに差し替えが終われば、そこは「はい」に直して出せばいいだけです。
逆に、去年の控えを写して「はい」にしてしまうと、当日に古い掲示が見つかったとき、点検表と現場がちぐはぐになってしまいます。こちらのほうが、説明に時間がかかりがちです。
影響:正直な点検表は、当日の会話を短くする
自己点検表を正直に、根拠つきで書いておくと、次のようなことが起きやすくなります。
- 当日の確認が「点検表のこの項目は、この書類です」と短いやり取りで済む
- 「いいえ」の項目は、提出までに直せるものから先に手をつけられる
- 書いた内容が、そのまま来年の点検表の下書きになる
指摘をゼロにすることより、「園が自分の状況をわかっている」ことのほうが、ずっと伝わるものです。
明日やること:まずは「仕分け」だけ
- 自己点検表と記入要領を出し、提出期限をカレンダーに書く
- 項目を「保育」「給食」「事務」に仕分けし、担当者の名前を書き込む
- 担当分の項目に印をつけたコピーを、主任・給食担当にお願いする
- 自分の担当分を、根拠の書類を横に置きながら1日10項目ずつ答える
- 保留の付箋と「いいえ」の項目を一覧にし、直せるものから手をつける
- 迷う項目は、窓口への質問メモにまとめて一度に聞く
今日はまず、1と2だけで十分です。誰が何を答えるかが決まると、それだけで点検表の重さがぐっと軽くなります。
確認チェックリスト
まずここだけ(必須)
- 今年届いた様式と記入要領を確認した(去年の様式ではない)
- 提出期限と提出方法(紙・メール・電子申請など)を確認した
できれば
- 項目を「保育」「給食」「事務」に仕分けて、担当者を決めた
- 「はい」の項目に、根拠の書類名をメモした
- 規程や記録が今年度の最新版か確かめた
- 「いいえ」の項目に、理由と対応予定を一行添えた
- 「該当なし」の項目に、該当しない理由を添えた
- 去年の回答を写しただけの項目が残っていない
- 迷う項目を、窓口に相談した(または質問メモを作った)
- 提出した点検表の控えと根拠メモを、当日用にまとめて保管した
全部を一度に完璧にしなくて大丈夫です。必須の2つを押さえて、あとは担当者と少しずつ埋めていけば、大きな抜けは防げます。

自己点検表で手が止まるのは、それだけ一つひとつの項目に誠実に向き合っている証拠です。「いいえ」は、園がちゃんと自分を見ている印でもあります。今日、項目を3つの分野に仕分けて担当を決められたら、もう提出に向けて動き出しています。ひとつずつ、一緒に進めていきましょう。
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