夕方の職員室で、保育園の事務担当者が会議ノートを開き、少し困った表情で書かれている内容を見つめている場面

保育園の職員会議・園内研修の記録|監査で慌てない残し方の工夫

監査の通知が届いた日の夕方。

事前提出書類の一覧に「職員会議の記録」「研修計画と研修の実施状況がわかるもの」とあるのを見て、職員室の棚から会議ノートを取り出します。ページを開くと、そこには日付と「運動会について」「12月の行事について」の一行ずつ。何を話して、何が決まったのかは、書いた本人の頭の中にしか残っていません。

会議は毎月ちゃんと開いていた。園内研修も、みんなで時間をつくってやってきた。それなのに、紙の上ではそれが見えない。そのもどかしさに、ため息が出た方もいると思います。

結論:会議や研修をやっていないのではなく、残す「型」がないだけのことがほとんどです。整えるのは3つ。①会議は「決まったこと・担当・期限・欠席者への共有」までを1枚に書く/②園内研修は「計画→実施記録→共有」の3点をひとつのファイルにまとめる/③記録は会議の終わり5分でその場で仕上げる。これで、毎月の積み重ねがそのまま監査で見せられる形になります。

一度に過去の分までぜんぶ作り直さなくて大丈夫です。まずは、なぜ記録が薄くなってしまうのかから、一緒に見ていきましょう。

何が起きているか|職員会議・研修の記録が薄くなる3つの理由

保育園の職員会議は、たいてい子どもが帰ったあとや午睡の時間に、短い時間でぎゅっと開かれます。話すことで精一杯で、書くことまで手が回らないのは、ごく自然なことです。

記録が薄くなる理由は、だいたい次の3つに分かれます。

1. 議題だけ書いて、決まったことを書かない

「運動会について」とは書いてあっても、「雨天時は翌週に延期」「当日の受付は○○先生」といった決まった中身が残っていない。話し合った本人たちは覚えているので、書いている時点では困らないのです。

2. 書く人と書く場所が、その日によって違う

ある月は主任のノート、ある月は事務のパソコン、ある月はホワイトボードを写真に撮っただけ。記録そのものはあるのに、1か所に集まっていないので、あとから探すのに時間がかかります。

3. 園内研修は「やった」ことしか残っていない

外部の講師を呼んだ、動画を見て話し合った。実施した事実は覚えていても、年間の計画・参加者・内容・その後どう活かしたかがばらばらになっていて、ひとつの流れとして説明しづらくなっています。

どれも、職員が怠けているから起きることではありません。忙しい現場で、書く型が決まっていないから起きることです。

監査ではどこを見られるのか

職員会議や研修の記録は、多くの自治体の指導監査で確認されやすい書類です。見られる観点は自治体ごとに違うので、まずは手元の自己点検表(事前に提出する点検用の様式)や、監査の通知に添付された提出書類一覧を確認するのがいちばんの近道です。

そのうえで、背景にある考え方を知っておくと、何を残せばよいかが見えてきます。

つまり監査で伝えたいのは、「会議で園の運営や保育について話し合い、決めたことを全員に届けている」「研修を計画して、実際に行い、保育に活かしている」という流れです。立派な書式よりも、この流れが1冊で追えるかどうかが大切です。

具体例|会議記録と研修記録、1枚に書くこと

職員会議の記録(A4・1枚)

会議記録は、次の項目がそろっていれば十分です。

項目書き方の例
日時・場所10月8日(木)13:15〜13:45 職員室
出席者・欠席者出席9名(名前)/欠席2名(名前)
議題運動会の雨天時の対応、午睡チェックの記録方法
決まったこと雨天時は翌週火曜に延期。連絡は前日17時までに連絡アプリで送る
担当と期限保護者へのお知らせ文:事務(10月10日まで)
欠席者への共有翌朝、主任が口頭で伝え、記録に確認のサインをもらう

いちばん大事なのは「決まったこと」と「担当と期限」です。ここが書いてあれば、次の会議で「前回決めたことはどうなった?」と振り返れるので、会議そのものも少し楽になります。

園内研修の記録(3点セット)

園内研修は、次の3つを1つのファイル(紙でもデータでも)にまとめます。

  1. 年間の研修計画:いつ・どんなテーマで・誰が対象か。年度の始めに1枚。
  2. 実施記録:日時、テーマ、講師や進め方(外部講師・動画視聴・事例検討など)、参加者、話し合った内容の要点。
  3. 共有と振り返り:参加できなかった職員への共有方法と、「保育でこう変えてみる」という一言。

外部研修に出た職員の報告書(復命書)も、同じファイルの後ろに綴じておくと、園全体の研修の流れが1冊で見えるようになります。研修にかかった時間の勤務としての扱いは、別の記事で整理しています(保育園の研修時間は勤務扱い?)。

放っておくと、どうなるか

記録が薄いままでも、園の保育がすぐに困ることはありません。ただ、次のような場面で、じわじわと負担が出てきます。

逆にいえば、ここを整えると、監査の準備だけでなく、日々の「言った・聞いていない」も少しずつ減っていきます。

手順を小さく分けます|記録は4つの順番で整える

職員会議で話し合い、その場で記録を残し、欠席した職員に共有するまでの流れを3コマで示した説明図
会議で話し合い、終わり5分でその場で残し、欠席した職員にも伝える。この3つがつながると、記録がそのまま園の説明になります。

1. 記録の置き場所を、1か所に決める

会議記録と研修記録を、それぞれ1つのファイル(または共有フォルダの1つの場所)にまとめます。紙なら年度ごとのファイル、データなら「年度>職員会議」「年度>園内研修」のようにフォルダを分けるだけで十分です。

書く人が変わっても、置く場所が同じなら記録はそろいます。

2. 様式を1枚つくり、毎回それに書く

上の表の項目を並べた様式を1枚つくります。ワープロでも手書きでもかまいません。空欄が目に入ると、「決まったこと、まだ書いてないね」と自然に気づけるようになります。

研修記録も同じように、「日時・テーマ・進め方・参加者・要点・保育で変えること」の欄を並べた様式を用意しておきます。

3. 会議の終わり5分で、その場で仕上げる

記録を「あとで清書しよう」と持ち帰ると、たいてい次の会議まで残ってしまいます。会議の最後に5分だけとって、書記役がその場で「決まったこと」と「担当と期限」を読み上げ、全員で確認します。

読み上げると、「あ、そこはまだ決まってないかも」という食い違いにも、その場で気づけます。書記役は月ごとの持ち回りにすると、ひとりに負担が集まりません。

4. 欠席者への共有と、確認のしるしを残す

シフト制の保育園では、全員がそろう会議はほとんどありません。欠席した職員には、翌日までに記録を回して、読んだら名前か確認のしるしを入れてもらう形にします。職員向けのチャットや連絡アプリを使っている園なら、記録を投稿して「確認しました」の返信をもらう形でもかまいません。

「全員に届いた」ことが記録に残ると、監査の場でも説明しやすくなります。

過去の記録が薄いときは

すでに監査の通知が届いていて、過去の記録が薄い。そんなときも、あわてて当時の内容を作り直す必要はありません。

監査は、完璧な記録をそろえる場というより、園の運営の流れを確かめ、よりよくしていくための場です。気づいたところから整え始めた記録は、それだけで前に進んでいる証になります。指摘を受けたときの答え方は、監査の改善報告書の書き方で整理しています。

明日やること

  1. 職員室の棚と共有フォルダを見て、今年度の会議記録と研修記録がどこにあるかを確かめる。
  2. 会議記録の様式を1枚つくる(日時・出席者と欠席者・議題・決まったこと・担当と期限・欠席者への共有)。
  3. 主任や園長に「次の会議から、終わり5分で記録を確認させてください」とひとこと相談する。
  4. 今年度の園内研修の計画があるか確かめ、なければ、すでに実施した研修を並べるところから始める。

今日はこの中のひとつ、様式づくりだけできれば十分です。

確認チェックリスト

明るい昼の職員室で、保育士たちが記録のファイルを囲んで笑顔で話している場面
決めたことが残っていると、次の会議は「この前の続き」から、少し軽やかに始められます。

会議の記録を整えるのは、監査のためだけの仕事ではありません。短い時間で話し合って決めたことを、その場にいなかった職員にも、来月の自分たちにも届ける仕事です。

子どもが帰ったあとの職員室で、疲れた体で話し合った時間は、ちゃんと園の力になっています。記録は、それを見える形にするだけのことです。

まずは、様式を1枚。次の会議の机に置くところから始めてみましょう。

よければ、こちらも

監査の準備と、職員どうしの共有まわりの記事を置いています。

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