
保育園の園児健康診断は年2回|嘱託医との段取りと記録の残し方
「そういえば、秋の健診っていつ嘱託医の先生に相談すればいいんだっけ」——夏の事務室で、ふとカレンダーを見上げて手が止まったことはありませんか。健康診断は毎年やっていることなのに、日程調整も、当日の段取りも、終わったあとの記録も、なぜか毎回どこかで慌ててしまう。園児の名前を一人ずつ照らし合わせながら、「この子、まだ結果が返ってきてない気がする」と不安になる夕方も、きっとありますよね。
健康診断は、実施すること自体は難しくありません。むずかしいのは、日程・当日・記録の3つが別々の仕事のように散らばっていることです。今日は、この3つを1本の流れにつなぎ直して、来年の自分が迷わないようにする段取りを、一緒に整理していきましょう。
結論:園児の健康診断は、入所時の健康診断と、少なくとも1年に2回の定期健康診断(必要に応じて臨時の健康診断)を行うことが、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準で定められています。事務としてやることは3つだけです。①嘱託医と年2回の日程を年度はじめに押さえる、②当日の名簿と未受診者の追いかけ方を決めておく、③結果を児童票(健康の記録)に残して保護者へ伝える。②と③まで届いて、はじめて健診はひと区切りです。
何が起きているか
健康診断まわりでつまずきやすいのは、担当者の段取りが悪いからではありません。ひとつの行事の中に、性質のちがう仕事が3つ混ざっているからです。
1つめは日程の仕事。嘱託医の先生の都合、クラスの行事、保護者への案内。これは早めに動くほど楽になります。
2つめは当日の仕事。園児を順番に誘導して、診てもらって、結果を受け取る。ここは保育士さんが中心に動くので、事務は名簿と結果用紙の受け渡しを支える役回りになります。
3つめは記録の仕事。これがいちばん後回しになりやすいところです。当日は無事に終わったのに、結果の用紙が職員室の机に積まれたまま数週間、ということは珍しくありません。
そして監査・指導で見られるのは、多くの場合この3つめです。「年2回実施したこと」と「結果が記録として残っていること」は、実施した事実がどれだけ丁寧でも、記録がなければ確認のしようがありません。逆に言えば、記録の置き場所さえ決まっていれば、健診まわりの不安はかなり減ります。
なお、園に嘱託医を置くことも同じ基準で定められています。「うちの園は嘱託医の先生にどこまでお願いできるんだろう」と迷ったら、契約や委嘱の書面を一度見返してみると、健診・保健指導・相談のどこまでを担っていただいているかがはっきりします。
結果が返ってきてからの3ステップ

たとえば、秋の定期健診が終わった翌日を思い浮かべてみます。やることは、この順番です。
①受け取る。 嘱託医の先生から結果の用紙を受け取ったら、その場で園児名簿と突き合わせて枚数を数えます。ここで「今日休んだ子」「途中で泣いて診られなかった子」を印つきで拾っておくと、あとの追いかけが楽になります。未受診の子には、次回の健診で診てもらうか、かかりつけ医の受診をお願いするか、園としての方針を決めておくと迷いません。
②児童票へ。 結果は、児童票(健康の記録)に書き写すか、用紙そのものを綴じ込みます。どちらでもかまいませんが、園の中でやり方を1つに決めておくことが大事です。「この子の去年の身長ってどこを見れば分かるんだっけ」と探し回らずに済みます。園でICTシステムを使っているなら、入力先の項目を最初に決めておきましょう。
③保護者へ。 結果は保護者にも伝えます。全員に同じ用紙を返す園もあれば、所見があった子だけ個別にお伝えする園もあります。どちらにしても、受診をおすすめする内容が含まれるときは、口頭だけで終わらせず紙かアプリで残すと、あとで「聞いていない」というすれ違いが起きにくくなります。伝え方は、園から診断を下すのではなく「先生からこう見えたそうです。よければ一度かかりつけの先生にご相談ください」と、判断を保護者とお医者さんに委ねる書き方が安心です。
この3ステップを健診の翌週までに終えると決めておく。それだけで、机に積まれたままの用紙はなくなります。
後回しにすると、どうなるか
結果の記録が遅れると、まず困るのは、その子の様子を知りたくなったときです。気になる所見があった子の相談を保護者から受けたとき、手元にすぐ記録がないと、その場で一緒に確認することができません。
もうひとつは、実施状況の確認を求められたときです。監査や指導の場面では「年2回、全員に対して実施できているか」を、名簿と記録の両方で見ていきます。実施日と受診した人数、未受診だった子への対応まで残っていれば、そのまま説明できます。逆に、用紙は全部あるのに実施日がどこにも書かれていない、というのはよくある詰まりどころです。
責める話ではありません。健診の日は園全体がいつもと違う動きになりますし、事務は当日いちばんばたばたする立場です。だからこそ、「終わった翌週にやる」と先に決めておくことが、いちばんの備えになります。
明日やること
まずは、カレンダーを1枚開いて、今年度の健診の実施日を書き出すところから始めましょう。1回目が終わっているなら実施日と受診人数を、2回目がまだなら「嘱託医に相談する日」を、仮でいいので日付を入れてしまいます。
そのうえで、次の健診の案内を出す前に、嘱託医の先生へ連絡する項目をメモにしておくと安心です。希望日の候補を2〜3日分、対象クラスと人数、当日の所要時間の見込み、会場と動線。この4つがそろっていれば、電話は一度で済みます。
全部を今日やらなくて大丈夫です。日付を1つ決めるだけで、この件はもう動き出しています。
確認チェックリスト
- 今年度の定期健康診断が年2回、日程として押さえてあるか
- 入所した子の入所時健康診断の記録が残っているか
- 嘱託医への依頼事項(候補日・対象人数・所要時間・会場)をメモにしてあるか
- 当日の園児名簿と、結果用紙の受け取り担当が決まっているか
- 欠席・未受診だった子のリストを作り、次の対応を決めてあるか
- 結果を児童票(健康の記録)に残すやり方が園で1つに決まっているか
- 実施日と受診人数が、記録のどこかに書いてあるか
- 所見があった子の保護者に、紙かアプリで伝えた跡が残っているか
- 歯科健診など園で行うほかの健診の回数を、自治体の案内で確認したか
歯科健診をはじめ、園で行う健診の種類や回数、様式は自治体によって案内が異なることがあります。園の運営規程と、自治体から届いている手引き・通知をあわせて確認してください。
よければ、こちらも
入園前の面接と健康診断の段取りは 入園面接・健康診断で確認する書類と当日の段取り にまとめてあります。健診の結果をどこに残すか迷ったら 児童票・要録の書き方と引き継ぎ が土台になります。監査に向けた書類の並べ方は 監査・指導で求められる書類の準備、園児ではなく職員の健康診断は 職員の健康診断とストレスチェック にあります。年間の予定に組み込むときは 保育園の年間事務カレンダー もあわせてどうぞ。

健康診断は、園児一人ひとりの「今日の元気」を年に何度か立ち止まって確かめる時間です。事務のあなたがやっているのは書類仕事に見えて、実はその子の育ちを、去年の自分から来年の自分へ手渡していく仕事でもあります。日付を決めて、受け取って、残して、伝える。順番さえ決まっていれば、今年もちゃんと回せます。積まれた用紙を一枚ずつ片づけてきたあなたの手が、園の子どもたちの健康をいちばん近くで支えています。